メンタルヘルス不調者を対象とした予防、職場復帰、両立支援策を実施
2020年度の厚生労働省が発表した労災保険状況によると、精神障害による労災件数は右肩上がりに増加し続けています。
そして2022年度の厚生労働省の発表によりますとストレスチェックの集団分析を行っている企業の割合は年々増加しており、
職場環境改善に取り組んでいる企業も30%台後半で推移しています。
しかし、何から始めればよいのか分からないというのが実情ではないでしょうか。
そこで今回は、企業におけるメンタルヘルス対策の具体的な取り組みについて、わかりやすく伝えていきたいと思います。
1. 悩みやストレスの状況
国民生活基礎調査(2019年)で発表された「世帯員の健康状況」の結果で、12 歳以上の人について、日常生活での悩みやストレスの有無をみると「ある」が 47.9%、「ない」が 50.6%となっています。また、悩みやストレスがある者の割合を性別にみると、男性 43.0%、女性 52.4%で女性が高くなっており、年齢階級別にみると、男女ともに 30 代から 50 代が高く、男性では約5割、女性では約6割となります。
2. ストレスチェック制度
2015年12月1日、労働安全衛生法の一部改正を受け、ストレスチェック制度が施工されました。本制度の目的は、以下です。
- 社員自身のストレスへの気付きを促す
- 社員のストレスの程度を把握
- 働きやすい職場づくり
- 社員がメンタルヘルス不調となることの未然防止(一次予防)
3. メンタルヘルス不調者に対する取り組み
2015年に施行されたストレスチェック制度を機に、これまでメンタルヘルス対策に積極的でなかった企業でもメンタルヘルス対策が検討されるようになりました。
厚生労働省は「労働者の心の健康保持増進のための指針」を策定し、その中で「4つのケア」の提案をしています。これは、社員自身のストレスへの気づきと対処である「①セルフケア」に、職場における「②ラインによるケア」「③事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「④事業場外資源によるケア」の3つを加えたものになります。
情報が多すぎて、何から始めてよいのか分からないという会社は、まず、この「4つのケア」 から検討してみてはいかがでしょう。
4つのケア
セルフケア | 社員自身で行うことのできるメンタルヘルスです。社員自身が自らのストレスに気づき、予防対処し、また会社はその支援を行います。 |
ラインによるケア | 管理監督者が行うメンタルヘルスケアです。日頃の職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行います。 |
事業場内産業保健スタッフ等によるケア | 会社の産業医、保健師や人事労務管理スタッフが行うメンタルヘルスケアです。社員や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行います。 |
事業場内産業保健スタッフ等によるケア | 会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、その支援を受けます。 |
4. メンタルヘルス不調者の早期発見と対応
メンタルヘルスがきたす不調や疾患は、パフォーマンスが低下する期間が長く、チーム運営に大きな影響を与えます。また、発見や対応が遅くなればなるほど、回復が遅くなるため問題は長期化します。
メンタルヘルスの不調は突然起こるのではなく、何らかの兆候がありますので、不調のサインを知っておけば、早期発見と対応に役立ちます。メンタルヘルスの不調は日常の行動の変化として現れます。管理監督者は、以下のような変化に早めに気づき、それが1週間ほど続くようであれば、部下に「様子がいつもと違うけど、どうしたの」と声をかけて話を聴きましょう。
メンタルヘルス不調の兆候の例
勤 怠 | ・遅刻、早退、欠勤が増える ・無断欠勤がある ・残業、休日出勤が不釣り合いに増える |
仕 事 | ・仕事の能率が悪くなる ・業務の結果がなかなか出てこない ・報告や相談、職場での会話がなくなる |
行 動 | ・表情や動作に元気がなくなる ・不自然な言動が目立つ ・ミスや事故が目立つ ・服装が乱れる、服装が不潔になる |
補 足
- 積極的傾聴:相手の話に口をはさまず、共感的に、受容的に受け止めて、相手の気持ちや言い分を聴き出すようにしましょう。
- 声のかけ方:症状がひどいときにはげましてしまいますと相手をきずつけてしまうことがあります。相手への接し方がわからない場合、産業医や保健師にお気軽にご相談ください。
企業の具体的な取り組み事例
- 相談窓口の設置
【具体例】
- ストレスチェックの期間等の前に、産業医もしくは保健師による相談(非公式で気軽なものも含む)ができることを、各部署と連携して連絡・案内を出す。
- メール相談や、対面相談、オンライン相談、電話相談窓口の設置を行う。
- 社内報やポスターにて相談窓口の周知を行う
- セミナー/eラーニングの実施
※ 健康経営銘柄選定必須要件 兼 健康経営優良法人(大規模法人部門)認定要件(PDF) はこちらからご覧いただけます。
《参考資料》
〇厚生労働省「こころの耳-職場のメンタルヘルス研修ツール-」:https://kokoro.mhlw.go.jp/training
〇厚生労働省「こころの耳-相談窓口案内-」 https://kokoro.mhlw.go.jp/agency
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