適切な働き方実現に向けた取り組み
適切な働き方実現に向けた取り組みとは、
組織として時間外勤務の縮減を行ったり、有給休暇取得の促進などを行うことです。
従業員の仕事と家庭生活の両立に向けた環境作りをするための取り組みともいえます。
近年多様化する労働者のニーズに対し、本人の意欲や能力を発揮できる環境や、
自ら働き方を選べる状況をつくり、「労働者にとっての働きやすさ」に着目した社会を目指します。
1. ワーク・ライフ・バランス(生活と仕事の調和)
ワーク・ライフ・バランスが重視される背景には、次の3つの変化が挙げられます。
- 家族形態が多様化し、育児と仕事の両立が課題になっていること
- 超高齢化社会により介護と仕事の両立が課題となっていること
- 性別役割分業意識が弱まり、仕事とキャリアを重視する女性が増えている一方、男性も仕事以外の生活を重視する傾向にあること
ワーク・ライフ・バランスが崩れると、仕事への意欲が低下し、生産性や創造性が低下してしまうことが、多くの実証的な研究によって明らかにされています。社員のワーク・ライフ・バランスを崩さないよう、また、崩してしまった場合には、その状態を早急に解消してあげるように支援することが重要となります。
2. ムリ・ムラ・ムダをなくす
ワーク・ライフ・バランスが重視され始め、それに伴い人事労務管理の考え方も変化していかなければならないにもかかわらず、従来の働き方を想定した人事労務管理制度が運用されているのが現状です。そのため、時間外労働に法的強制力のない管理職に仕事が集中し、生産性や創造性が損なわれる恐れがあります。
ワーク・ライフ・バランスの取り組みといえば、まず頭に思い浮かぶのは、短勤務時間制度や休暇制度、育児支援制度といった人事労務権利制度の改善ではないでしょうか。確かに制度を取り入れたり改善したりすることは、ワーク・ライフ・バランスを進めるために必要な取り組みといえるでしょう。しかし、実はもっと身近で簡単な取り組みにより、業務内容の効率化を行い、長時間労働が減少、年次有給休暇の取得がしやすい職場環境をつくることができます。それが、業務の「ムリ・ムラ・ムダ」をなくす取り組みとなります。内閣府が実施した調査では、「ワーク・ライフ・バランスを実現するために必要な企業の取り組み」として、約9割の人が「無駄な業務・作業をなくす」を挙げています。
会社の仕事が効率的に行われているか等の現状を把握するため、内閣府より「10の実践」が提示されており、下記内容となります。
- 会議の無駄取り
- 社内資料の削減
- 書類を整理整頓
- 標準化・マニュアル化
- 労働時間を適切に管理
- 業務分担の適正化
- 担当以外の業務を知る
- スケジュールの共有化
- 「がんばるタイム」の設定
- 仕事の効率化方法の共有
《工場の場合》
- 作業台の天板を高く幅の広いものに変更
- 吊り具の置き方を見直し
- 備品置き場を指定化して整理整頓
- 充電状態を判別できるように箱を設置
- 必要なものが見つかるよう管理方法を見直し
- 指導方法を口頭からチェックシートに変更
- 書類の保管方法をファイルから箱に変更
※株式会社あおい技研のホームページより引用しております
3. その他の取り組み
ワーク・ライフ・バランスの取り組みで重要なのは、両立支援等をスムーズに受け入れることのできる企業風土を社内に根づかせる等の土台づくりです。
具体的な取り組みとしては、まず様々な職位に対する研修会の開催や、組織を活性化させるためにコミュニケーションの向上につながる研修会の開催です。また、並行して業務の進め方を見直し効率化し、本来の業務遂行のために必要な時間を適正化することです。業務の効率化を行うことなく、両立支援を導入したり、「残業削減」を呼びかけるだけでは、制度が適正に利用されず形骸化する恐れがあります。
現在、厚生労働省では様々な組織を活性化させるためにコミュニケーションの向上、業務の進め方を見直し効率化につながる研修会のためのツールを提供しています。義務感からの活動では、「忙しいから」などで活動半ばで頓挫しがちです。皆で楽しめる活動にしていくことが望まれます。
《組織活性化のためのツール》
※ 健康経営銘柄選定必須要件 兼 健康経営優良法人(大規模法人部門)認定要件(PDF) ≫
《参考資料》
〇内閣府「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた『3つの心構え』と『10の実践』」(PDF) ≫
〇内閣府「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた仕事の進め方『10の実践』チェックリスト」(PDF) ≫
〇厚生労働省「いきいき職場づくりのための参加型 職場環境改善の手引き」(PDF) ≫
〇厚生労働省「職場環境へのポジティブアプローチ」(PDF) ≫
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